





– 企画展 vol.13 –
callboxでは8月2日(土)より、企画展「4つのポストアーティスト」を開催いたします。
4つのポストアーティストという、中村悠一郎が最近取り組んでいる人間ではない概念やシステムが作家であるという別名義のプロジェクトを展示いたします。缶詰による経済圏のカンヅメコノミーではアーティストの佐塚真啓 氏にご協力いただきます。
以下、本展を企画した坂本嘉明が展示に寄せたテキストになります。
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「4つのポストアーティスト」
アーティスト中村悠一郎は、中村悠一郎という本人の名義ではなく、別の名義を制作し、その作家として作品を制作し、展示をすることによって知られているアーティストです。彼は例えば、一人で4人のアーティストの役割を担い、作品を制作し、一人でグループ展を行ったり、または、一人で1週間ごとに別々の展示を行った連続個展、一人でありながら、ベルを鳴らすと名義と振る舞いを変えるパフォーマンスなどを行ってきました。
また、インターネット上では、それらの別名義の作家と作品のアーカイブを公開するなど、多種多様なメディアによって、一人でありながら、様々なコンテクストを分裂するかのように生成しています。
2025年に5月に入ってから、彼はその次のフェーズとなるアイデアを思い付きます。今までは、実在しない仮想の人物を想定していた別名義でしたが、人間に囚われなくてよいのだと気づきます。例えば、彼が福島県某所にアトリエとして利用している一軒家自体を作家として捉えたり、彼が保持しているノートパソコンを作家として捉えたり、光という物理現象を作家として捉えたりすることなどです。
そこから発展して、今回callboxで展示するにあたって、それぞれが小さな実験的なシステムとして一つの作家でないものを作家として捉えることにしました。それがここでいうポストアーティストというものです。
例えば、缶詰を貨幣として交換する経済圏であるカンヅメコノミー、戸籍上の名前ではない人々によって仮想的に生活が行われている共同体であるオルタネームコミューン、世界中の様々な言語の文字を一文字ずつ並べ替えて意味のわからない文字列によって構成されているキャロットランゲージ、メタバースがインターネット上の仮想空間なのに対し、メタメタバースというインターネット上にもない人々の空想の中にある仮想空間であるメタメタバース。そしてそれをさらに推し進めた、人々が空想することすらできない世界にある仮想空間のメタメタメタバース。
今回は、この4つのポストアーティストによる展示を行います。
坂本嘉明
design : 柳川智之
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callbox
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