本展は、様々なジャンルで活動する7名の作家が1週間日替わりで行った中村悠一郎氏 (@gachaichiro) による企画展である。
banner design:柳川智之 @vorbildurbild
photograph:稲口俊太 @inaguchis、(film)力丸朋子 @maruco00
2024年4月8日(月)13:00〜25:00
「Drawing 2024」
展示作家 : Y・N
本展示では2024年に入ってから描いたドローイングを展示している。
2024年も様々な問題がニュースやSNSで情報として溢れかえっている。
その中で、私たちは溢れる情報の中で、自分にとって重要な情報を取捨選択して生きているとも言えるのではないだろうか。
しかしながら、改めて考えてみると、世界の出来事は全て同一の世界という空間において行われている出来事であり、抽象的なレベルで全て繋がっているということが事実としてある。
それは、私たちが単なる個々の存在ではなく、より大きな全体の一部であることで、相互に関連し合う存在であるということでもある。
そして、AIやテクノロジーの進化が人間の身体性を拡張していっている中で、やはり改めて私たちは自身の身体性や存在の意味について改めて思考する必要があるのではないだろうか。
私はドローイングを描くことによって、一人の人間としての身体性、また世界の中ではてしなく機能していく拡張された身体性など、抽象的でネットワーク的ともいえる感覚を意識するようになった。
そのような生成変化としての感覚。それは非言語的なコミュニケーション、つまり非言語的な世界との対話でもあり、そのような感覚が自分にとってまず重要なのではないかと思っている。
Y・N
@y.n_drawings
非言語・非概念的コミュニケーションの一環としての、ペンによるドローイングを制作している。手の身体性を意識しながら、様々なパターンが生成変化する有様を表現している。作品自体は展示や販売、寄贈など様々な形式で流通させている。
2024年4月9日(火)13:00〜25:00
「おおくぼ」
展示作家 : てりやき
callboxの所在地である大久保とその近所を散歩しながら写真を撮影していきました。
新宿と東中野の間に位置する大久保は、多国籍の飲食店や雑居ビルなどがひしめく、個人的にとても魅力的なエリアです。
そんな大久保を撮影できてとても楽しかったです。
話は変わりますが、写真というメディアは、写真=世界という、客観的な事実を映し出すことが出来るメディアだとつい思われがちなのですが、そうではないと思っています。
それは、カメラという装置内でのインターフェイスとして、世界の再認識・再解釈の装置だと思っています。
私の撮る写真は、対象をモチーフにしてはいますが、その対象がなんであるかということは特に重要ではありません。矩形というフォーマットの中での形、色彩、質感など造形的な要素のコンポジションを意識して撮影していきます。
そのような、意味性を排除し、具象と抽象を行き来するかのような意識で撮影することによって、美学的・感覚的な問題というのを扱いたいと思っているのです。
話は戻りますが、おおくぼという地域性ということも今回の重要なテーマです。抽象的に撮影するからこそ抽出できる大久保のユニークな地域性というのもあったのではないかと思っています。
てりやき
@teriyaki_0107
写真家。日常を主としながら、身の回りに存在する存在を具象と抽象の中間のような視線で撮影している。
2024年4月10日(水)13:00〜25:00
「方・説トデネ法ル序カ」
展示作家 : GAME82
あらゆることを極限まで疑って、それでも疑うことのできないものが残ったならば、それを真理として受け入れるという思考法である方法的懐疑。
哲学者ルネ・デカルトは、感覚、存在、神などあらゆる存在を疑い抜いた挙げ句の果てに、疑う私自身の存在は疑えない、つまり「私は考える、ゆえに私は存在する」と結論を導き出した。
そのような哲学における第一原理としての真理というものから出発するということ。
私はそのような第一原理としての真理というものに惹かれて、この「方法序説」という本から文章を引用し文章を集めることにした。
そして、その文章を一文字ごとにバラバラに解体し、意味がわからなくなるようにランダムに再構成しデータ化した。
GAME82
テキストアーティスト。日本語を中心に本やインターネットから引用した文章の文字列の順番を混ぜ合わせ脱意味化を志向した言語表現を行っている。
2024年4月11日(木)13:00〜25:00
「構造体-5」
展示作家 : 竹下脩三
竹下脩三は1960年代に世界的に起こったアートムーブメントであるミニマリズムに影響を受けながらも、それに反発する形として、主に木材を利用したインスタレーションを制作しています。
ミニマリズムは、要素を必要最低限に還元するような性質を持ったアートムーブメントであり、木材のブロックや工業的な素材を扱うといった特徴があります。
竹下はそのような必要最低限の要素の造形要素で作品を成り立たせることは引き継ぐのですが、工業的な製造過程からくる直方体やボックスといったバランスの取れた形そのものに対して、疑問を持ち、そういった形態的な要素を解体し再構築するかのような中途半端なバランスの造形を目指しているといいます。
今回の作品は垂木という工業的な素材を用いながら、callboxの壁面を利用し、バランスの崩れたレリーフを反復的に展示し、リズミカルに観る鑑賞者との視覚的なコミュニケーションを図っています。
竹下脩三
アーティスト。ミニマリズムの影響を受けながら、それに反発する形として、主に木材を使用しながら、様々な構造体をインスタレーションとして展開している。
2024年4月12日(金)13:00〜25:00
「王国がくしゃみをするとき、あなたはマイクロウェーブしている?」
展示作家 : 楡木真紀
楡木真紀は詩人であり、ナンセンスで緩やかな散文詩などを執筆することを中心に活動している。
詩において重要な概念として多義性がある。言葉というものは本来一つの意味に限定されるものではなく、意味の多重性を保持しており、詩という形式によってその多義性というのが発揮されることがある。そういった意味では、楡木は詩人である。今回の作品では、一見詩という形式を保ってはいない散文の連続の映像作品であるが、意味の多義性という点では詩である。
また、ナンセンスとはなんだろうか。言語と日常を含めた世界そのものは一見対称的に思えるが、全くそうではない。言葉の世界では対象の現実性からかけ離れたどんなフィクショナルな現象も起こすことがある意味で可能ではあるが、物理的な現実ではそのようなことは不可能である。その乖離というものを楡木はトリッキーに言語を用いて遊ぶ。
鑑賞者の脳内の一見つながりが薄い関係性の事物と事物、現象と現象をつなぎ合わせ、今まで思いつかなかったような絶妙なユーモアをつくり出そうとしているのである。
楡木真紀
詩人。無目的な意味の関係性を目指した散文詩の執筆を中心に活動している。
2024年4月13日(土)13:00〜25:00
「すべてがうまくいく」
展示作家 : ダニエル・ホール
全てが上手くいくんだ。何一つ問題が起こらない。決してね。
ダニエル・ホール
アーティスト。レディメイド・リピティションと名付けた手法により、世の中に出回る大量生産品を素材としながら、それらのデザインに着目し、皮肉を込めて、複数個反復的にインスタレーションとして設置することによって作品を制作している。
2024年4月14日(日)13:00〜25:00
「Yukki」
展示作家 : 倉石幸彦
倉石幸彦
ダンサー。公園や広場、会場など様々な場所において即興的にダンスを踊っている。